vol.7 菊地恵理子さん【挑戦が挑戦を生むコミュニティを創りたい:タイガーモブ代表】
三重県四日市生まれ。関西学院大学総合政策学部在学中の大学四年次に、一年間の休学を経験。休学中には半年間の中国蘇州大学への語学留学、さらに上海にて通訳・翻訳・VIP対応として外資系五つ星ホテルでのインターンシップを経験したのち、帰国し卒業。
その後、新卒で人材会社へ入社し、採用コンサルタントとして営業を担当する。2年目にて、会社初の海外事業部海外インターン事業「AJITORA」を始動。
約600名の海外送り出し実績を経て、タイガーモブ株式会社を立ち上げる。
現在タイガーモブはアジア新興国を中心に27か国・約180件もの海外インターンシップを未来を背負う若者・社会人に対して提供し続けている。
*菊地さんの20歳
ー20歳の時は何をしていたのですか?
20歳の時は、関西学院大学の三年生。二年間バンドとアルバイトに熱量と時間をつぎ込みすぎたある時、ふと急に焦り始めた時期でした(笑)
その後一年間中国語を専攻し、がむしゃらに勉強して、大学4年生の21歳の時に、休学。中国へ語学留学、そのまま中国に残って五つ星ホテルでインターンを経験しました。
*菊地さんのこれまで
◇和太鼓、ドラム、どこまでも高みを目指した幼少期
—菊地さんの小さい頃のお話を教えてください
幼稚園時代から地域の祭りの和太鼓チームに所属していて、小さい頃からコミュニティーで繋がるという経験がすごく好きでした。今思うと、“お祭り”という非日常の空間に高揚感が生まれていて、知らない人同士が繋がり、そしてシナジーが生まれる瞬間に、幼いながらもドキドキしていたのかなと思います。
—高校生の時はどんなことをされていたんですか?
バンド活動をしていました。ドラム担当で、パンクロックのコピーバンドをしていて。髪の毛をツンツンにして青の革ジャン着てROCK YOU言ってました(笑)。
オリジナルソングも作りながら、大会では勝ち抜いてZepp名古屋で演奏したこともあるのですが、あの舞台からの景色は今でも脳裏に焼き付いています。この時からですが、私は演奏している人を見るよりそこに来ている人たちの一体感がある状態を見るのが大好き。今でもライブ行くとお客さん側見ていたりします。(笑)
◇大学、ちょー楽しいっ!けど、私…このままでいいの?
—バンド活動に没頭ですね。大学生でもバンドを続けたんですか?
はい。軽音サークルに入り引き続きドラムをしていました。大学デビュー戦から“rage against the machine”というロックバンドのコピーバンド組んで頭振りまくっていました。その後も様々なバンドを組んで先輩達にも凄い良くしてもらい本当に楽しい幸せな大学生活を送っていました。
ただ、3年生の時ふと、「あれ、私・・・このまま超楽しい生活送っていて良いんだっけ」という疑問が湧き上がりました。
—大学生あるあるですね(笑)すごく共感できます(笑)
充実した2年間だったけど、「このままでいいんだっけ?いや、何か状況を変えよう。チャレンジしよう。」そう思って中国語の勉強を始めました。
中国語を選んだ理由はお兄ちゃん。中国に留学してタクシーで現地の人と流暢に話しているのを見た時に純粋に凄いなと思い、その影響で中国語を履修することに決めました。
新しい言語を勉強するのは、なんだかとても新鮮で武器が一個増えたような感覚で、夏休みには一ヶ月の留学も経験しました。
ただ、その時は現地の大学が御休み期間だったり、日本人の団体で行っていたこともあり、中国語のレベルはほとんど上げることができませんでした。
—やるならとことん極めたい。覚悟を決めて飛び込んだ中国留学とインターン
この時の悔しさが、
根っからの“やるならとことん高みを目指す”精神に火をつけました。
どうせやるならとことん中国語出来るようになりたいと。
思いついたら“えいや!”と即行動(笑)
休学して中国へ留学、そしてインターンをすることにしました。
—海外インターンはどうしてすることに決めたのですか?
どうせ行くなら、留学の他にも色んな経験をして、価値を最大化したいと思ったからです。
エージェントを通してインターン先の五つ星ホテルを紹介してもらって、
通訳・翻訳・VIP対応を担当していました。
—ホテルで働いてみて、実際どうでしたか?
いろいろと大変なこともありましたが、最高に楽しかったです。
中国語だいぶできるようになって自信持っていたら、インターン先は上海語の世界でまたゼロから振り出しに戻ったり、
ボスからThanks Letter貰って大いに喜んだり、上手くいかないことがあったら退社後ダッシュで繁華街くぐり抜け上海の夜景スポットに行って再挑戦を誓ったり・・・。(笑)
ここで学んだことは沢山あります。
・仕事は与えられるものではなく、自分で取りに行くものだ。
・ちょっとしたコミュニケーションのミスが大きな問題を生み出す。だからこそ責任持って丁寧に。
・えいや!と踏み込む、その挑戦の一歩が見る世界を変える。
・上を見ないと上のことはわからない。等
そして自分の進むべき道もこのインターンを通して明確になりました。
◇条件は裁量権と将来的に海外事業に挑戦できる社風がある会社
私はもともと国連に興味があり関西学院大学に入学しました。国連は魅力的な機関だったのですが、
ちょうど当時「社会起業家」というワードが出始めて、そこで初めてビジネスでも社会問題を解決できるんだ、ということを知りました。
私もビジネスを通じて何かを解決できるようになりたい。
でも何を解決すれば良いのかわからない、そのスキルもない。
・・・じゃあ、それを身につけよう!と。
その為には、裁量権大きく仕事ができること、将来的に海外に挑戦出来る社風があることが大事だと思いました。
最終的には、条件に加えて、本心から仕事を楽しんでいる姿、たくさんの面白い方々と会える環境、そして「じゃあグローバル担当宜しくね」と任せてくれた
“ジョブウェブ”という就職・採用のサポートをするベンチャーに入社を決めました。
◇卒業間際に出かけた、モットーを集める海外一人旅“kikutrip”
—内定が出た後はどのような生活をしていたのですか?
一足早く、内定先でインターンをさせてもらったり、海外へバックパッカーに行っていました。
内定者インターンの時に、海外でもインターンする選択肢も作れないかなと思い、
「じゃあやっちゃおう!」という上司の一言でインドの会社に連絡とったのが最初の一歩でしたね。
—海外での一人旅では何をしていたのですか?
中国留学・インターンで様々な価値観に触れたので、もう一度その友達に会いたい、そして他の国の人が何を考えているのかもっと知りたい。
そんな思いで始めたのが、通称“kikutrip”。
バックパックを背負い、3ヶ月で8カ国を巡り、出会った人に「あなたのモットー(大事にしている言葉)は何ですか?」と聞いていました。総勢319人に聞きました。
—319人!すごい!!国や人種を超えた方々に聞いて回る中で、印象的だったモットーはありますか?
はい、たくさんあります。(喜)
- 「目の前の全てが尊い」
韓国から中国に行く船の甲板で出会った中国人の女性のモットー。
今見えているものが尊いという感覚、というのは自分には新鮮な価値観で、この瞬間から目の前の景色の見え方ががらりと変わりました。
- 「避けられないんだったら、じゃあ楽しんじゃおうよ。」
大親友の韓国人が書いてくれたモットー。今いる環境をポジティブに捉えて楽しんじゃおう、そうすれば結果はかわる。大好きなモットーです。
—バックパックで世界を渡り歩くことに、怖いという感情はなかったのですか?女性一人ということもあり、ひるんでしまいがちかなあと思うのですが。
ないですね。(笑)
バックパッカーも留学や海外インターンと同じで、「えいっ!」と直感的にやっていました。気づいたらもう海外にいましたね。(笑)
というのも、私の好きなガンジーの言葉で「人間は思考の産物にすぎない。人は思っている通りになる」というものがあって。
つまり、人間は考えている範囲内、自分の知っている世界の範囲でしか動くことができない、であれば
その思考の範囲を広げたい!と。
だから、“怖い”より“ワクワク”の気持ちの方が大きかったです。
思考外のことばかり起こって、「え!?」、「は!!?」の連続ですが、それがまた最高でした。(笑)
◇社会人2年目で立ち上げた海外事業部
—新卒で就職した後はどのようなことをされていたのですか?
1年目は企業さんの採用支援の営業を担当していました。とにかく結果を出そう!とがむしゃらに目の前のことに取り組みました。足を骨折する事件もありましたが、(笑)
全てがあって良かったなあと良い思い出です。あの時があるから今があります。
*菊地さんの今
◇新会社タイガーモブ独立への想い
—武勇伝ですね(笑)1年間の頑張りが認められて、2年目には海外事業部を作られたんですよね?
はい。日本ではグローバル化が目指されていてどこでも成果が出せる人材が目指されているのに、
それに見合った選択肢を提供できていないという現状をすごく感じて。それに対して私たちに何か出来ないかなと考えました。
中国でインターンを選ぶ際に感じた
・コストの障壁
・業界の選択肢の少なさ
・アジア新興国等の成長市場での機会の少なさ
それを取り払った海外インターンを見つける機会を提供するサービスを立ち上げよう、そうして出来たのが「AJITORA」です。全てが初めてのことばかりで大変なこともありましたが、上司達のサポートもあり本当に楽しくやらせてもらいました。
バックパッカースタイルで海外営業する“バックパッカー営業”もこの時始まりましたし(笑)移動手段も長距離バスだったので気づいたらメコン川の上にいたりしました。(笑)
バックパッカー営業にはこのトラもつれて行きました
—どうして独立(新しい会社:タイガーモブの設立)を決意したのですか?
ユーザさんが本当に良い方ばかりで、起業したい!とか、こういうことやりたい!と勢いよくて素直で優秀で、このコミュニティを更に進化させたい!と強く思ったからです。
それに、多くの他のスタートアップ企業の方とも関わる機会が増えた事もあって彼らの手がける事業が急成長を遂げて大きくなっている姿を見ていたら、
もっとスピード感を持って大きいサービスにしていきたい。
そんな気持ちが生まれて、独立を考えるようになりました。
独立後すぐはこんな感じでした。
—こうしてできたのが、タイガーモブ!もっと詳しく想いを聞かせてください!
ありがとうございます。タイガーモブでは急成長するアジア新興国を中心にアフリカや南米など世界27カ国で実践経験を積むインターンシップの機会を提供しています。
インドで現地人相手に広告営業をしたり、シンガポールで進出支援のマーケティングに携わったりと、その人のやりたいこと・やるべきことに応じてインターン先を紹介しています。
—タイガーモブを、熱い想いが溢れるコミュニティに
現在のタイガーモブのコミュニティの参加者は500名以上いますが、全員海外インターン経験者。場所も期間も異なるところで、ユニークな経験をしてきた方々ばかり。
世界各地から自己紹介して、世界各国で「タイモブ祭り」というイベントで集まって、自分はこうしたいとか、こういうことで悩んでいるとか、切磋琢磨しあっています。
タイモブ祭り@カンボジア
私たちはタイガーモブを通して、挑戦が挑戦を生むような環境を創りたい。
その環境を作るために、異文化で大きな挑戦ができる海外インターンの事業を軸に、活動しています。
—コミュニティーを大切にするのはどうしてですか?
海外インターンに、強い意志を持って挑戦した方々は、ものすごく成長して日本に帰ってきます。
でも一番大切なのは、そこで身につけたスキルや想いや熱量…それを帰国後、これからの人生にどうつなげていくかというところ。
行って楽しかったね、だと意味がない。
だから、そういう意味で、インターン中だけでなく、インターン後も、夢を語りあい、目標に向かって挑戦し合う
挑戦が挑戦を生むコミュニティを創ることでよりそれぞれの関わる分野でリーダーシップを発揮する人を増やしたいです。
ユーザーさんが海外インターンやタイモブに関わる写真を集めて世界地図を作ってくれました!
私たちも彼らの頑張りを見て、もっとやらなきゃ!って鼓舞されることも実際多く、私たちもそのコミュニティの一部として切磋琢磨する存在でありたいなと日々邁進しています。
—コミュニティーの集まりではどんなことをするのですか?
特徴的なものだと、“ピッチ”というものがあります。
自分の想いをみんなの前で語り質疑応答を受けるというもの。
自分の想いを宣言することで、より覚悟が決まるし、それを見た周りの人たちが鼓舞されて、挑戦が挑戦を生み出しています。
あとは最近起こった嬉しいこととしては、タイモブログリレー。
海外インターンに行く前、行った後、そして今を綴ったブログがユーザーに次々にバトン形式でアップされています。
・「名古屋の体育会系男子大学生が、インターン帰国後に名古屋で会社を作るまで」
・「関西激アツ男がインターン後に、「母校を盛り上げる!」に目覚めるまで」
・「静岡の女子大生が、名刺2枚もって毎週300km移動するようになるまで」
このブログを通してまた更に人のスイッチが着火されていくのが感動感激であり、コミュニティのいいところです。ユーザーの皆さんに心から感謝です。
*菊地さんの好きなモノ
—オススメの映画と本を教えてください
●『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』(Hedwig and the Angry Inch)
ミュージカルとそれを映画化した作品。人生に対して様々な人の想いがものすごくこもっていて、それが歌になっているの。色んなことについて考えさせられる映画です。
ちょっと過激かもしれない作品だけど、(笑)
常識が常識でないこと、多様であることが素晴らしいなと思える作品で、枠にとらわれない考え方をしようって思えるの。
●オノヨーコ『グレープフルーツ・ジュース』
ある人から薦められて読んだ、オノヨーコさんの素敵な言葉が書かれた詩集。
読むと頭の中が、すっと綺麗になったり、わざと思考回路をごちゃごちゃにしてみたり、頭の中が自由自在になる感覚をくれる一冊。
●高橋歩『人生の地図』
バックパッカーしよう!と思ったきっかけになった本。実際に講演にも行ってモットーブックの一番はじめのページは、歩さんに書いてもらった「Love&Peace」。
—影響を受けた人・言葉はありますか?
●小寺圭さん
挑戦する人は無条件で美しい。喜びは分かち合うことで更なる喜びを生む。私もそういう人たちの輪の中にいたい。
「何故タイモブみたいな会社を助けてるの?」とよく言われるので自己分析してみるとこういうことなのかなって思ってます。」
人生の大先輩であり、タイガーモブの顧問として共に挑戦してくださる方です。「もしもし小寺さんホットライン」というのがあったりと、心強い存在です。
●李英俊さん
「菊ちゃんは菊ちゃんで良い」
いつも視座をあげてくださり覚悟をより強いものにしてくれる存在。創業前に勝手な思い込みで葛藤して悩んでいる時に言ってくれた一言です。
●母・洋子
「あなたの人生あなたのお好きなように」
生まれた時からずっと無条件の愛で見守ってくれる暖かい存在。
今はタイガーモブシニアインターンとして母ではなく、一人の人間として活躍してくれています。
—人生を100点満点で点数化すると…
100点の気持ちだけど、まだ100点にしたくないかな。
一生99点。いつ死んでも後悔ない位充実度はすごく高いけど、まだまだ未熟者なのでもっと頑張りたい、高みを目指したいという思いが強いです。
—今の夢
”タイガーモブでやりたいことは、リーダーを輩出すること。”
リーダーと言っても起業するとかお金持ちとかそういう定義ではなく、
自分はこれだ!
と思う分野で自分の強みを発揮して行動する、そういう意味でリーダーシップを発揮している人たちを増やしたいです。
無限の可能性があって、いろんな人が関わってカオスで面白い場所にしていきたい。
コミュニティもそうですが、タイガーモブという組織に対しても同じ考えです。
日々多くの人の関わりがあって、副作用を生む。国籍も年齢も関係無く、多様な価値観が入り混じることで予想していないものができる、シナジーが生まれる会社にしていきたいです。
—20歳の皆さんへメッセージをお願いします。
心に素直になって、“えいやっ!”でやりきることかな。
つまり、やりたいことにどんどん挑戦して欲しいです!
誰でも人間なので、何かを成し遂げようと思った時に、不安になったり悩んだりして出来ない理由を並べてしまうかもしれない。でもいざやってしまうとその時の悩みってちっぽけだったなあと思うことがほとんどです。
だから、えいやっ!とやりたいことに是非挑戦して、
見えなかった世界を見て欲しいです。
それが将来にとって必ず価値になるし、20歳という若い頃に芽生えた夢や想いが原体験となって今後の人生の土台になるはずです。
やりたいことは諦めないで! !そうするときっと周りもサポートしてくれます。
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