vol.29 立石良太さん【声で繋がるマッチングアプリ”声の居酒屋”代表】


ゲーム会社での企画職、カンボジアの森の中での街づくり事業を経て、個人で「声の居酒屋」https://app.voicepub.life/ というサービスを開発中。異色のキャリアを持つ立石さんが、人生を変える出会い・経験を通じて、「声」と「出会い」に注目した背景を紐解きます。



■小さい頃の憧れ「ゲーム会社」のキャリアから始まる


小学校の頃から、ゲームが大好きで、何十冊もの自由帳にオリジナルのロールプレイングゲームを作り、友達に遊んでもらっていたという立石さん。


就職活動の際に、規律が多い大企業は向かないと考え、自分のキャリアを悩んでいた。

そんな時、ゲーム会社に就職した大学時代の友人がゲーム企画100本ノックという課題をしているのを目にした。こんな楽しい仕事があるのか…と感激し、友人の背中を追いかけ、ゲーム会社に新卒入社することになる。

入社後は、最高のサービスを作るため、妥協せずサービスを作りこんでいく熱いチームの中で、夜遅くまで働くことも多かった。

オフィスから見える夜景


「年齢層も立場もバラバラの人たちと、最後まで戦い抜いた日々はずっと心に残っています。社会人でここまで良い人間関係が作れた事は幸運だったなと。今でもよく会います。」


働き始めて5年。プロジェクトが一段落ついたことで、今までゲーム関連の仕事一色だった人生を振り返る機会があった。


「ゲーム会社で働き始めた当初、”ゲームは疑似経験の中で心を揺り動かせる非日常の世界だ”という考えを持っていました。 ただ、ゲーム業界で働いていた頃の私にとって、ゲームの世界はもはや日常になっており、愛が注げなくなっていたのだと思います。 良い仕事をする上で、愛がとても大事だと理解して、自分が心から好奇心を持って臨める仕事がしたいと考えていました。 


■好奇心の赴くままに…。


その後、自分の好奇心を持てることを探すべく、心行くままに、ダンスや英会話、そして海外バックパック旅行を始めたという立石さん。


旅先でクレジットカードが利用できず、旅費が払えなくなったり、チベットで人権活動家と勘違いされて警察署に連行されたり…たくさんの困難に見舞われたが、ハプニングが起きると燃える立石さんの性格ゆえに、それらを楽しんでいたそう。

「ゲーム会社で働いていた時も、上司にあなたは消防士が似合うよ。火消しが似合う。て言われてました。日々業務上起こるトラブルや仕様の変更など、大変な時こそ燃えてくるタイプなんです(笑)」


 ■ひょんなことから、カンボジアの森の中で働くことに


バックパック旅行から帰国し、転職を考え始めていた立石さん。心から好奇心を掻き立てられる仕事について考え始める中で、海外で働くことが自然と選択肢の一つになっていた。


「バックパック旅行や学生時代の語学留学、前職の外国人の同僚…など経験上、海外からいらした方々と関わる機会が多かったことが大きな原体験になっている気がします。彼らのオープンかつユニークなコミュニケーションや、彼らとの関わりを通して新しい世界を知る楽しさに惹かれ、海外で、日本人以外の同僚と働いてみたい、という想いが強くなっていきました。」


情報収集を進めていくと、海外インターンという手段があることを知る。カンボジアの森の中で働く、という文言に惹かれ、英語力に一定不安はあったが、思い切って応募してみることに。

応募書類を送ったが便りがなく諦めかけた頃に連絡があり、カンボジアの森の中で、IT事業を行う会社でインターンとして働き始めることになった。


「アジアの森から社会を変えようとする事業に大きな興奮を覚え、挑戦することを決意しました。微々たる語学力で採用してもらえるのかという不安はありながらも、これまでの人生通り、何とかなるだろうという根拠のない自信がありました(笑)」

業務経験を考慮してもらい、カンボジアでのインターンシップに合格、その後現地で正社員として働くことになった立石さん。

「カンボジアでの生活は、毎日が非日常で。(笑)スコール降った次の日には、住んでいたシェアハウスの一階が水浸しになったり、毎日何かしら事件が起こるので、本当に人を飽きさせないな〜と思っていました。」

「カンボジアで一緒に住んでいた仲間たちも最高に大好きでした。森の中で、1缶100円もしないビールを買って、フィリピンやインドから働きに来ている仲間と毎日飲み会をしていました。カンボジアで出会った仲間とはすぐにプライベートの話が心置きなくできて、心地良い人間関係を保てていたように思います。」


■「自分ができる」社会貢献を考える


このように立石さんにとって、環境や仲間の面で、カンボジアでの仕事が充実していたことは確かだが、それに加えて、カンボジアで行っていた事業の社会貢献性もまた、立石さんの大きなモチベーションになっていた。

内戦で多くの知識人が失われた哀しい歴史から、人材育成が大きな課題となっていたカンボジア。

立石さんがカンボジアで携わっていた事業は、カンボジアと日本の問題を一度に解決する、両国にとって社会的意義の高いものだった。

自分の人生と、仕事が一致している感覚を覚えるくらい、やりがいのある仕事でした。一方で、自分なりの社会貢献のやり方を模索してみたい、という気持ちも強くなりました。」

カンボジアでの仕事をきっかけに、「自分ができる」社会貢献について考えるようになった立石さん。


日本に一時帰国をした時に、現在の事業のヒントになる書籍に出会うことになる。

頭で悶々と考え続けている時期、本屋を歩いていた時に目に止まったのは、『8割の人は自分の声が嫌い』(角川SSC新書) と言う書籍だった。

“声には、性格や心の状態など、その人についての多くの情報が詰まっているのに、本人はそのことを認識できていない。”

昔から、声の裏側にある心理に興味を持っていた立石さんにとって、その本に書かれた情報はとても興味深いものだった。カンボジアの仕事を終えた後、フリーランスの仕事と並行しつつ、サービスの立ち上げの準備を行うことになる。


■声を分析し、居心地のいい相手(友達・恋人)を探すサービス


立石さんが、新たな心のビジネスとして考えたのは、「声のデータを客観的に分析し、そのデータをもとに信頼がおける人とマッチングできるサービス」だ。

その名も、「声の居酒屋」

昔から仲間の内で”いじられキャラ”の立ち位置になることが多かったという立石さん。

親しみやすく、話しやすいキャラクターである一方、良くも悪くも、人からいろいろ言われることが多く、信頼できる相手と繋がりたいという想いが強くなった。

そして、そのような相手と繋がるためにテクノロジーの力を用いて世の中に対しても貢献したい、そんな野望も生まれてきた。


「自分がコミュニケーションをとる時に、得意な相手、苦手な相手というのがありますよね。私は、 海外で働いた時に、現地の同僚はすごく話しやすいな、と感じました。 相性の良さは客観的なデータが蓄積できないので、あくまで勘でしかないのですが、AIの力によって、それを定量化できるかもしれない。そんな想いでこのサービスを始めました。」



そこで、その人の性格や心の状態をうつしだす”声”を切り口に、自分が本当に素直な気持ちをやりとりできる相手と繋がることができたら、と声で繋がるマッチングサービスの開発に踏み切ったという。 

「声で繋がる”ボイスチャット”は、テキスト以上、会話未満という位置づけで、 会話のテンポが比較的遅く、返事を保留することもできるので、会話の難易度が低いです。 最初に声で話しかけることは多少緊張感があると思いますが、慣れの問題ですし、初対面同士のツールとしては相手の素性も知ることができて良いのではないかと思います。」


■ラフで素直なコミュニケーションを


立石さん自身、人生の中で大きく成長したのは、信頼している上司や友人に囲まれているタイミングだった。自分の声を客観的に分析し自分のことを知ることが出来るとともに、そのデータを使って心から信頼がおける人と繋がることができる。

「写真は加工できるけど、声は加工しにくいんです。リアルタイムの会話だと撮り直しが効かないし良いところも悪いところも全部さらけ出すことができるので、本当の意味で、居心地の良い相手を探すことができると考えています。」

https://app.voicepub.life/


「相性の良さを数字で計ることや、感情をデータで示すこと…など抽象的なものを、より多くの人に対して分かりやすいものに変えて、サービスの価値を証明したいです。」


声を通じて心地の良い相手とつながることができる


まさに、”居酒屋”というサービス名の通り、お酒を交えた会話のように、ラフで素直なコミュニケーションを好む人と繋がることができるのだ 。立石さんは、このサービスを多くの人に届けていきたい、と強く意気込んだ。


ちなみに、”声の居酒屋”では現在一緒にサービスを創ってくれる仲間を募集中です↓(^^)
(立石良太さんTwitter )

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Crossroads 〜20歳の時、なにしてた?〜

ハタチの時代を思い切り楽しむ人たちへの道しるべ。憧れのあの人は20歳の時、どんなcrossroads(分岐点)を迎えたのだろう。 「20歳の時、なにしてた?」そんな質問を中心に、年齢•職業•性別を問わずバラエティ豊かな方々にお会いし、人生インタビューをしています。